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エチオピアでウルルン滞在記 

 

さてさて、現在はエチオピアに滞在しております。スーダンより陸路国境越えしてやって参りました。この移動もメチャクチャにハードだったんですけど、そのハナシはとりあえずパスしておいて、今回は「迷惑」について書きたいと思います。


長期でバックパッカーをやった経験をお持ちの方は、恐らく一度は読んだ事があるだろうと思いますが、外国人ばかりが泊まる安宿には「情報ノート」というモノがあります。それはどういうシロモノかということについては面倒なので書きませんが、今回の旅で僕は既にエジプトのカイロでそれを読みました。そしてそれを読んでいたときに気付いたんですけど、情報ノートの文章には必ずといっていいほど使われる決まり文句ってのがあるんですよね。それはどういう言葉かというと、



「後から来る人の迷惑にならないように・・・」



という言い回しです。これはどういうときに使うのか、幾つか例をあげて説明すると



「アナタが現地人にボラれてしまうと、奴らは味をしめて同じ事を繰り返します。後から来る人に迷惑をかけない為にも、ここに書いた物価をよく覚えておいてください。」


こんな感じで使います。上記の文章について説明しますと、バックパッカーの多くは無職にもかかわらず長期で旅しようという連中なので、余分なカネを持っている人というのはほとんどいません。ようするに必然的に節約しなくてはならない状況に追い込まれるわけです。だからモノを購入する際には、現地人と同じ価格で買おうとするわけなのですが、しかしながら初めて来た国の本当の物価なんてすぐにわかるわけがありません。それでそういう人達のために皆が親切心でノートに適正な物価を書き連ねていくのです。僕自身この情報に助けられて余分なお金を使わずに済んだ経験が何度かあります。もし何も知らずに買い物していたらボラれてしまって、他の旅行者に迷惑をかけていたかもしれません。自分が損するだけならまだしも、自分が原因で他人に迷惑かけるのは、やっぱりイヤですよね。


さて、それでは次の例に移ります。この文章もよく情報ノートで見かけます。それは日本の女性旅行者が他の日本人女性旅行者に対して書いたメッセージです。



「この辺りをうろついているカタコトの日本語をしゃべる若い現地の男につきまとわれてとてもイヤな思いをしました。勝手に身体に触ってくるし、部屋の中までついて来ようとするし、挙句の果てはセックスまで誘ってきて本当に散々です。以前日本人の女性旅行者がこの男と寝た事があるとのことで、そのせいでセックス目的で日本人女性のみをターゲットに絞っているみたいです。海外でどんな恋愛をしようが、もちろん人それぞれの自由だと思いますが、くれぐれも後から来る女性旅行者の迷惑にならないようなカタチで遊んでください。」


上の文章について、海外での恋愛を楽しむ女性にはなかなか厳しい意見ですが、でも僕はこの文章を書いた女性の気持ちが痛いほどよくわかります。何故なら僕も同じような経験をいつもしているからです。僕自身は全く意識していないのですが、きっとあまりにも純粋すぎる僕の少年のような心が自然とさわやかなルックスに見せてしまうのでしょう、しょっちゅう現地の女性達から黄色い声を浴びせられて本当に困っているのです。つい先日も




「1ディナールちょうだい」


「ねえ、これ買ってよ。」


「チャイナ!」



というように沢山の女性達が声をかけてきて本当に参りました。でも皆さんも御存知なように僕は遊びの恋はしない男です。現在僕に彼女はいませんが、今はイングリット・バーグマンを探している最中なので、声をかけてくる女性達の相手をすることはできません。だから僕は彼女達の気持ちを傷つけないように、



「金は無い」



と言って丁重に断ってやりました。



ふう、あれ?なんだかハナシがそれてしまいましたね。そうそう、「迷惑」のハナシをしていたんだった。いや、なんで今回こんな話題を取り上げたのかというと、実はエチオピア北部のバハルダールというところで実はとんでもない目に遭ってしまったからなのです。


バハルダールというところはエチオピアで一番ツーリスティックな街で少々ウザイのですが、でもそのおかげでインフラはけっこう整っているんです。ネット屋もいっぱいあるし、うち数件は日本語も使えて実に便利です。それで僕もネット屋でメールとホームページのチェックをしたのですが、その帰り際に店の女の子に呼び止められたのです。いかにもエチオピア美人といった感じのチャーミングな女の子でした。僕はそのとき正直「またか」と、思いました。でもそれを表情に出しては彼女が可愛そうなので、



「君の気持ちは嬉しいけれど、今はバーグマンを探している最中だから・・・」


と、いかにも申し訳なさそうに答えようとしたところ、何故だか彼女は僕の返事を聞く前に



「ねえ、ちょっとコレ見てよ。」


と、パソコンのモニターを指差しながら僕に言ったのです。モニターをのぞいてみると、そこには僕に対する愛の告白がアムハラ語で書いてあったかというと実はそうではなく、なんとモニターにはウインドウズ・メディア・プレイヤーによる「ウルルン滞在記」の映像が流れていたのです。ハッキリ言って僕はかなりびっくりしました。だってまさかこんなところでウルルン滞在記を観る事になるなんて夢にも思っていませんでしたから。恐らくは日本人旅行者がこのネット屋を利用した際にファイルをインストールしていったのでしょう。


番組の内容は日本の若い俳優がエチオピアの田舎で「ハマル」という名の少数民族の男になるという主旨のものでした。その俳優は可愛そうにほとんど素っ裸で身体にいろんな液体を塗りたくられたあげくに、死んだヤギにかぶりついてその血をすするとか、もうすさまじいものでした。仕事だから仕方なくやっているんだろうけど、その俳優にはかなり同情してしまいました。そしてひととおり番組を観た後、今度こそ帰ろうとしたのですが、そのときくだんの彼女は僕にこう尋ねました。



(彼女)「あなたもやるの?」

(僕) 「えっ?何だって?」

(彼女)「コレやりにエチオピアに来たんでしょ?」

(僕) 「いや僕はただの旅行者だから・・・」

(彼女)「でもこの日本人はやってるじゃない」

(僕) 「だってこれはテレビ番組だし・・・」

(彼女)「あなたならきっとハマルになれるわよ」

(僕) 「なれるわけねーだろ!」



その後もしつこくハマルになる事を薦められて、小心者の僕は本当に困ってしまいました。そんな僕から日本人旅行者に対して苦情を言わせていただきます。お願いですから現地のパソコンに妙なものをインストールしないで下さい。あなたのしている事はハッキリ言って、




「後から来る人にとって迷惑です!」

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category: [アフリカ編] リアルタイム現地報告

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