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カサブランカで懺悔します 

 

神様・・・旅の神様・・・



お許し下さい。私はバックパッカーとして、してはならないことをしてしまいました。もちろん、私は自分の犯した罪から逃れようなどとは思っておりません。だからこそ、私は今こうして神の御前で全てを打ち明けるのです。なにとぞ、この憐れな子羊に寛容なお裁きを・・・


私がモロッコという国を訪れたのは、メルズーガで砂漠を見るためでも、マラケシュのスークで買物をするためでも、フェズのメディナを徘徊するためでもありませんでした。私はただ「カサブランカ」という街にあこがれて、この国へとやって来ました。

神様は「カサブランカ」という映画を御存知でしょうか?はるかな昔、名優ハンフリー・ボガードと美しいイングリッド・バーグマンが決して成就しない悲しい恋を繰り広げた映画で、シネマ・ファンでこの映画を知らない者はないという、名作中の名作です。もちろん私はこの映画をリアルタイムで観たことはありません。ビデオだけです。ですが初めてこの白黒映画を観たとき、わたしはすぐにこの映画の虜になってしまいました。特にボガードとバーグマンの間で囁かれる洒落た会話・・・




バーグマン 「昨日はどこへ行ってたの?」


ボガード  「そんな昔のことは忘れた。」


バーグマン 「明日はどこへ行くつもりなの?」


ボガード  「そんな先のことはわからない。」



素敵だ・・・。本当に素敵すぎる・・・。「AS TIME GOES BY」(時の過ぎ行くままに
がピアノの弾き語りで流れるバーで、交わされる男と女の駆け引き・・・

その映画を観て以来、とにかく私は「カサブランカ」に憧れました。そして誓いました。


いつの日か必ずモロッコに行こう」と、・・・。

このようにして、私はモロッコにやってきました。もちろんカサブランカで私の来訪を待っているに違いない、美しいバーグマンと出会うためです。ただそれだけの為に、私はやってきたのです・・・。





カサブランカに到着すると、私はすぐに行動に移りました。御存知のようにモロッコはイスラムの国です。ですがここはかなりユルイ国なので、探せばアルコールを飲酒できる店はあります。特に私はロンリープラネットという貧乏西洋人旅行者を対象にしたガイドブックを持ってきているので、安く飲める店を発見するのはそれほど難しい事ではありません。私はガイドブックに掲載されている数々の店の中から、慎重に一軒の店を選びました。



「Au Petit Poucet」

これが店の名前です。フランス語なので名前の意味はよくわかりませんが、なかなかオシャレそうな感じがします。ガイドブックの記述によれば「ナントカいう1920年代のフランス人作家が多くの時間をここで費やした」とあります。また同時に「安く飲める」とも書いてあります。私は早速この店へと足を運び、店のドアを開けました。

・・・・・10分後・・・・・入店してからわずか10分で私はこの店を出てしまいました。なぜかというと店は大変混雑しているうえに、なんだか珍妙なモロッコ音楽が流れていてとても静かにグラスを傾ける雰囲気ではなかったからです。客層は庶民ばかりで、おまけにそいつらメチャクチャ酔っ払っていて、赤ら顔で大騒ぎしています。バーグマンなんてどこにもいやしません。ハンバーグみたいな顔したオッサンがいるだけです。

・・・どうやらこの店は日本で言うところの居酒屋のようなところだったようです。そんな店が私のようなボガード風の男に似合うはずがありません。私は別の店を探すことにしました。


「La Bodega」

ここが私が選んだ2軒目の店です。ガイドブックによれば「高いけど生演奏が聴ける店」と、あります。店に足を踏み入れると、私の耳にはすぐに演奏の音が入ってきました。
「おっ、アズ・タイム・ゴーズ・バイ(時の過ぎ行くままに)か?」
私は席に着き、耳を澄ませました。しかしながらなんだか賑やかな演奏です。そしてスペインからやってきた私は気づきました。



「スペイン・ルンバだ・・・」



どうやらここはスペイン系の店のようです。店を見渡せば客は外国人ばかりで、それは私の望むところだったのですが、シブイ男女が出会う場所にしてはいささかうるさすぎます。オマケにテレビで闘牛のビデオとか流していて、情緒も何もあったものじゃありません。

それでも私は我慢して、カウンターでチビチビと酒を飲んでいました。こうしてシブく飲んでいれば、きっとバーグマンが声をかけてくるに違いない。そう信じて・・・。そして30分後、初めて私は他の客から声をかけられました。これだ!私はこの瞬間を待っていたんだ!

私はボガードを気取りつつ、ゆっくりと後ろを振り返りました。しかしそこにいたのはバーグマンではなく、何故だか若い男でした。そして怪訝な表情をしている私に向かい、男はこう言いました・・・


「チノワ?(中国人か?)」


・・・私はすぐに支払いを済ませて店を出ました。全く訳がわかりません。どうして私のようなハンフリー・ボガードを捕まえて「中国人か?」などと言うのでしょう?きっと飲みすぎて目が腐ってしまったのでしょう。

店を出た私は途方に暮れました。いったい私のイングリット・バーグマンはどこにいるのだろうか?ひょっとしたら私の前に現れてはくれないのではないか?ふと、そんな疑問が頭をよぎります。いや、こんなことぐらいであきらめてはイケナイ。ここであきらめてはわざわざモロッコまでやって来た意味が無い。「オマエはボガードだろう?」私はそう、自分を奮い立たせました。

そもそもガイドブックに頼ったのが間違いだった。だいたいバックパッカー向けの店なんて貧乏くさいところばかりだ。ここで初めて私は自分の力で、店を探すことにしました。今までのような店とは違う、もっとシックで静かでピアノの弾き語りが流れる場所・・・・





ホテルのバーしかない!





私は勝負に出ることにしました。私は日本でもホテルのバーで飲んだことはありません。だから値段の見当が全くつきません。ひょっとしたら散財してしまって旅が短くなってしまうような事態も考えられます。しかしやるしかありません。




「男には一生に一度、命を賭けても戦わなければならない時がある・・・」




と、かのキャプテン・ハーロックも言っていたではないか。そうだ、私は何だってやるぞ、バーグマンと出会うためなら・・・。

それから私はひとり夜のカサブランカを歩き、宿泊客ではないけれど、バーに入らせてくれる高級ホテルをみつけました。

そのホテルのバーはまさしく私が想像していたとおりのバーでした。シックな照明に、正装したウエイター。そして弾き語り・・・・雰囲気もすごく静かでした。ただ少しばかり静か過ぎました。なぜなら客が一人もいなかったからです。しかし夜は長い。焦る必要はない。

私はカウンターのストゥールに腰掛け、バーグマンが現れるのを待ち続けました。




30分後

私以外の客、いまだ現れず。仕方なく2杯目を注文する。




1時間後

私以外の客、いまだ現れず。仕方なく食事を注文する。







2時間後

私以外の客、いまだ現れず。仕方なく店を出る





本日の出費


1軒目 ビール1杯      12ディラハム
2軒目 ビール1杯・お通し  40ディラハム
3軒目 ビール2杯・夕食  115ディラハム



合計金額 167ディラハム(約2200円



この日の夜に使った食事代、2200円・・・・・・
バックパッカーが1食の為に2200円・・・・・・
1泊600円の宿に滞在しているのに・・・・・・・


しかもイングリット・バーグマンにも出会えず・・・




神様、こんな私になにとぞ神の慈悲を・・・・・・・









オシャレなホテルのバー

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